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ChatGPT Image 2025年12月18日 19_06_06.png

Character Profile

123

風の紋章を預かる、シンシア王国八将軍の一人。
ジュノは、剣でありながら音を持つ将である。軽やかな身のこなし、予測できない間合い、そして人の心に直接触れるような戦い方をする。その姿は舞う風のようで、正面からぶつかる将とは一線を画している。

彼は感情を隠さない。
よく笑い、よく語り、場の空気を和ませる。だがその明るさは軽薄ではない。沈黙や重さが続く場に、意図的に風穴を開けるための振る舞いだ。八将軍の中で、最も「場の空気」を読む存在と言える。

ジュノは人の心の揺れに敏感だ。
剣の腕だけでなく、声色、間、沈黙を感じ取る。だからこそ、戦場では敵の動きより先に、敵の迷いを断つことができる。その感覚は理屈では説明できず、本人も「音がずれる」と表現することが多い。

一方で、彼は自分自身に対しては厳しい。
自分の力が本物なのか、誰かに認められているのか、その問いを常に抱えている。冗談めかした言動の裏には、「自分はまだ足りないのではないか」という不安がある。だからこそ、努力を止めず、常に前へ進もうとする。

風の紋章は、自由の象徴ではない。
留まらず、問い続け、迷い続ける者の印だ。
ジュノは完成された将ではなく、常に変化し続ける将である。その未完成さこそが、彼の強さであり、人を惹きつける理由でもある。

彼は、音のように残る。
姿が見えなくなっても、心に余韻を残す。
ジュノは、八将軍の中で最も「人の心を動かす」将なのである。

Episode

122

ジュノがまだ少年だった頃、彼には一人の師がいた。
その師は厳格で、感情を表に出さず、褒めることを一切しない人物だった。どれほど剣を振っても、どれほど歌を重ねても、師の表情は変わらなかった。

ジュノは、鍛錬の日々を疑問に思いながらも続けた。
声が枯れても、腕が震えても、師は何も言わない。
評価も否定もない沈黙だけが続いた。

やがてジュノは気づき始める。
自分は、何のために剣を振り、音を奏でているのか。
誰のために強くなろうとしているのか。

ある日、ジュノは初めて「自分のすべて」を込めた旋律と剣を見せた。
技ではなく、感情を。
正しさではなく、揺れを。
それは、今までとは明らかに違うものだった。

だが、その時も師は何も言わなかった。
ただ背を向け、その場を去った。

ジュノは、その瞬間を「拒絶」だと受け取った。
努力が足りなかったのか。
才能がなかったのか。
それとも、自分は見限られたのか。

その日から、彼の中に影が落ちた。
笑顔の裏で、常に問いが渦巻くようになった。
自分は本当に、誰かの心を動かせる存在なのか。

この出来事は、ジュノの生き方を決定づけた。
誰かに認められることを求めすぎず、
それでも、誰かの心に届くことを諦めない。

ジュノは今も、風のように剣を振る。
答えが出ていない問いを抱えたまま。
その未完成な旋律こそが、彼の戦い方であり、生き方なのである。

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