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ChatGPT Image 2025年12月18日 19_06_06.png

Character Profile

Firefly_Gemini Flash_1のキャラが3のバルコニーの近くで夜のんびりとお茶をのんでるアップ 421346.png

氷の紋章を預かる、シンシア王国八将軍の一人。
マサロは、寡黙で感情を表に出さない将である。言葉は少なく、表情の変化も乏しい。その沈黙は冷たさではなく、慎重さから生まれている。彼は、言葉が持つ重さを誰よりも知っている。

マサロは軽率な判断を嫌う。
戦場でも日常でも、必要以上の発言をせず、状況を見極めてから動く。指示は簡潔で、無駄がない。その姿勢は部下に安心感を与え、混乱の中でも隊を崩さない。氷のように静かで、割れにくい統率力を持つ将だ。

彼の沈黙は、逃避ではない。
むしろ逆で、責任を軽々しく扱わないための選択である。言葉は、一度口にすれば戻らない。だからこそ、マサロは必要な時にしか声を出さない。発した言葉には、必ず行動と覚悟が伴う。

一方で、彼は自分に厳しい。
感情を抑え、冷静であろうとするが、その内側には強い葛藤を抱えている。自分は本当に正しい選択をしているのか。あの時、もっとできたことがあったのではないか。その問いを、誰にも見せず、胸の奥で繰り返している。

八将軍の中で、マサロは「止める役割」を担う存在だ。
情が先に走りがちな仲間が前に出すぎた時、彼は一歩引いた位置から全体を見渡し、最悪の事態を防ぐ。派手さはないが、彼がいなければ崩れていた局面は多い。

氷の紋章は、冷酷さの象徴ではない。
それは、感情を凍らせることで世界を見失わないための意志だ。揺れ動く心を抱えたままでも、判断を誤らないための鎧である。

マサロは英雄を気取らない。
称賛も、同情も求めない。
ただ、静かに前に立ち、必要な時にだけ剣を振るう。

沈黙の将。
だがその沈黙の奥には、誰よりも強い責任感と、決して消えない問いが息づいている。

Episode

102

氷将マサロの沈黙は、生まれつきのものではない。
それは、ある雪山での出来事から始まっている。

まだ若かった頃、マサロは親友と共に山へ入った。
二人は言葉が多い関係ではなかったが、沈黙の中でも意思が通じ合っていた。
背中を見れば、隣に立てば、それだけで十分だった。

だが、山の天候は突然変わった。
吹雪が視界を奪い、風が音をかき消し、足元の感覚さえ曖昧になる。
二人の距離は一瞬で引き裂かれ、白い世界の中で姿が見えなくなった。

マサロは、叫んだ。
喉が裂けるほど、何度も、何度も、親友の名を呼んだ。
自分の声は確かに出ていた。
そう、彼は今もそう信じている。

だが、返事は返ってこなかった。
風の音がすべてを飲み込み、自分の声が外へ届いているのかどうかさえ、途中から分からなくなった。
それでもマサロは叫び続けた。
声を上げることを、決してやめなかった。

救助されたのは、マサロひとりだった。
吹雪が止んだ後、親友の姿はどこにもなかった。

その日から、マサロは言葉を選ぶようになった。
いや、選びすぎるようになった。
声を出すことは、誰かを救う力になるはずだった。
それなのに、あの日、救えなかった。

自分は声を上げた。
だが、結果は変わらなかった。
ならば、声とは何なのか。
言葉とは、本当に人を守れるのか。

マサロは、答えを見つけられなかった。
だから彼は沈黙を選んだ。
軽々しく声を出すよりも、必要な一言を選び抜くことを選んだ。

氷の紋章は、その生き方の象徴だ。
冷たく、澄み切り、無駄を削ぎ落とした沈黙。
だがその奥には、今もあの日の叫びが凍りついたまま残っている。

マサロは今も思っている。
自分は、確かに声を上げた。
それだけは、決して疑っていない。

だからこそ彼は、今日も寡黙に前に立つ。
沈黙の中に、あの日の声を抱えたまま。

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